変化に富み飽きのこないトレッキングが楽しめる_羅臼湖(らうすこ)

往復5kmのトレッキングは素晴らしい自然と出会えるが、駐車場がなくアクセスは難あり

知床峠パーキングから羅臼町寄りに2kmほど下がった場所に、羅臼湖への入林口があります。ランドマークはバス停「羅臼湖入口」。小さな看板がありますが、高速で移動していると目に入らないかも。駐車場はなく初めて訪れると見つけにくい。にもかかわらず夏場はかなりの入山者がおり、入林届けのボックスや、自動カウンターシステムがなどが設置されています。また、案内板が立っていたり、随所に木道が整備されるなど、受け入れ体制もしっかりしています。高低差90mという、限りなく水平な山道を歩くこと2.5km。60〜90分で羅臼湖畔に立てます。道中には景観が素晴らしい4つの小沼を見ることができるうえ、国道から眺める羅臼岳とは異なる角度の勇姿に出逢えるなど、まったく飽きのこないトレッキングロードです。知床連山の深部を特別の許可なく散策できるわけで、一生に一度は訪れて損のない体験となります。なお、ここは標高700mを越える山奥ということを忘れてはなりません。それ相応の装備を用意する必要があります。

 羅臼湖を見るための心得
筆者は羅臼湖には2度訪れていますが、いずれの時も感じたのは、安易に入山する人の多いことでした。国道口から1時間ほどでたどり着けるとはいえ、下界の街から見ればかなりの山奥なのは間違いないのです。しかもヒグマの生息地でもあります。このような所でありながら、超軽装備で歩いている人が実に多い。本来であれば日帰り登山レベルの装備は必携な環境なのです。実際にすれ違った人では、水を一滴も持っていない手ぶらの人、熊除け装備を持っていない人、革製のツーリングシューズの人、圧巻はゴム製のサンダル履きのライダー!入口にスクーターがあったのでその人でしょう。ここは山なのです。天候の激変も相応にあるのです。カッパひとつ持たず入山し、突然スコールでも来たらどうするのでしょうか?待避場所は皆無なのです。水も持たずに炎天下で脱水したらどうするのでしょうか?携帯はつながりません。ここは山奥なのだという認識が薄すぎます。羅臼湖を訪れるなら、次の装備は最低限用意のうえ入山してください。

・飲料水:真夏なら最低1L以上必要です
・1日分の食料:骨折など不測の事態に備えて一昼夜過ごせる食料が必要です
・登山靴:またはこれに類する靴
・合羽:簡易なもので構いませんが、真夏でも雨に濡れると低体温症になる恐れがあります
・熊除けグッズ:鈴、ラジオ、笛など自分の存在を熊に知らせること
・帽子:真夏の場合は熱中症予防のために
・汗ふきタオル

 

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入林から展望台まで

入林口は羅臼湖入口バス停の、ガードレール脇より

案内看板と入林届け記入箱があります。必ず記載してから入りましょう

入山者数を計測するカウンターが設置されている

三の沼前後までぬかるみの路が続きます。防水シューズでなければ、ほぼ困難です

入林から10分ほどで展望台への分岐が現れる

5分ほどで展望台へ到着。標柱などの表示はなし

二の沼〜五の沼まで

二の沼には木道が整備されているものの、沼畔まではやや遠い

三の沼は以前とルートが変わり、鉄製の展望テラスが設置されている

展望台からの分岐まで降りると、すぐに二の沼の脇を通る歩道を進みます。二の沼は逆Lの字に歩道が設置されているものの、どの方向からも遠目なのが残念。二の沼を過ぎ、三の沼での道はぬかるみがひどい。防水性能のあるトレッキングシューズか長靴でないかぎり通り抜けるのは困難。ぬかるみ対策は必須です。三の沼には入林口から50分ほどで到着。羅臼湖手前の小沼の中で、三の沼がもっとも美しく、風がなければ水面に逆さ羅臼岳が映る絶景が見られます。三の沼を過ぎると、一部ぬかるみは残るものの、ほぼきれいな歩道を歩くことになります。

ぬかるみがなくなった探勝路を進むと、きれいな沢筋にでます。三の沼と四の沼の間にある湿地帯から流れ出る川です。足元が安定するため気持ちも高揚し、歩を進めるのが楽しくなってきます。また、歩道の整備も格段に良くなってくるのが判ります。ここまで整備してくれるのならば、三の沼手前のぬかるみも何とかならないものか、と思うのは筆者だけではないはず。また、五の沼まで進む間に、確実に標高が上がっているということも実感できるポイントを幾つか通過します。四の沼手前にはコース内で唯一のトイレスポットがあります。これは携帯トイレを使うためのブースでトイレではありません。トレッキング中に大小に自信がない人は、必ず携帯トイレを持参しましょう。筆者の場合は、ザックに入れっぱなしにしています。小沼群の中で最も大きな五の沼には90分ほどで到着します。ここまで来れば、羅臼湖は目前です。

四の沼と木道

五の沼と畔に建つ木製看板。傾き加減に風情を感じる

いよいよ羅臼湖に到着

とても歩きやすくなった歩道を進むこと、わずか5分で羅臼湖畔に到着。以前は木製テラスでしたが、金属製デッキを組み合わせたテラスへとリニューアル。筆者は各地の景勝地を見ていますが、このように金属製デッキを使ったものはほとんど見かけません。新しい試みなのでしょうか。木製と金属製、長持ちはどっち?環境への攻撃性は?

 

●料金:無料 ●滞在時間:150分 ●TEL:0153-87-2828/羅臼ビジターセンター ●駐車場:なし / 知床峠から歩くか、バスを利用する。2.7kmある ●バス運行について:バスは3時間おきに4便あります。知床峠から羅臼湖入口までまずわずか3分、210円です。阿寒バスWEBサイト

 

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