可能な限り先端へ!襟裳岬

国指定名勝の絶景岬、北の宗谷、南の襟裳だろう

ここ襟裳岬は「国指定名勝」であることは、あまり知られてはいないでしょう。最北端の宗谷岬や最東端の納沙布岬ですら名勝には指定されていません。それだけ絶景であるという証ではないでしょうか。森進一の演歌で一躍有名になったものの、意外と訪れる旅人は少ない。気にはなるのでしょうが、ルート的に非常に遠回りとなるため、おいそれとは足を運べないというのがその理由。北海道1週間の旅程の場合は、高確率でリストから落とされるでしょう。ぜひ、2度目3度目の渡道になれば足を運んで貰いたい。♪ 何も無い春ですぅ〜〜 ♪ということはなく、ちゃんと見どころ満載のスポットです。

襟裳岬は大きく3つのエリアがあります。駐車場とお土産店のエリア、展望台と風の館、灯台からなるメインのエリア、そして岬の先端エリアです。岬を訪れる人の大半が展望台からの景観を見て帰ってしまいます。岬先端までは遊歩道が整備されているのですが、往復800mの斜路となっているため尻込みしているようです。よく考えてみてください、人生で何回ここに来ますか?ほとんどの人は一生に1回来るかどうかでしょう。せっかく足を運ぶのであれば、岬先端部まで足を伸ばし記念写真を残しては如何でしょうか。

えりも町スポットマップ

展望台と岬先端

駐車場からまず向かうのは展望台でしょう。襟裳岬の展望台は地下建築物「風の館」の屋上部になります。周囲が土と草なので建築物の上とは気が付きません。これが戦争ならまるでトーチカです。詳しい説明はこの後に。展望台へは、施設入口の両脇にある遊歩道を進みます。どちらを通っても同じ場所に着きます。また、駐車場の右手に簡素な遊歩道があります。手摺りが設けられているのでそれと判りますが、注意していないと気づきません。岬の展望地は周回できるため、時間に余裕があれば、この地味な遊歩道から歩くのをお薦めします。

駐車場脇に地下建築施設の「風の館」があります。地下に造ったのは景観への配慮と、灯台の灯りを遮らないため

「風の館」の屋上部にあるメインの展望台

展望台から望む襟裳岬全景

西側にある遊歩道の入口

まず人はいませんね〜

この遊歩道からは、襟裳岬西側の荒々しい海岸線と、その延長上にアポイ岳を望むことができます。襟裳岬へ行ったことがある人でも、この景色を見たことがない人は多いでしょう。けっこう絶景ですよ!

遊歩道を進むと、襟裳岬灯台の裏手に出ます。日本の灯台50選認定の灯台ですが、背が非常に低いのが特徴です。襟裳岬は海抜63mあるため、背の低い灯台でも灯火標高は73mと十分な高さを確保しているのです。1889年(明治22年)初点灯ですが、太平洋戦争で爆撃により破壊されましたが、1950年(昭和25年)に再建され現在に至っています。

灯台の先に、風の館の上にある展望台とは別の展望地に着きます。風の館は1996年(平成8年)建築なので、それまではここがメインの展望台だったと思われます。岬先端部の見える角度も異なるので、こちらでも記念撮影をしておきましょう。

メイン展望台の左手に岬先端へ通じる遊歩道口があります。稜線に造られた立派な遊歩道ですが、けっこう傾斜があり帰りは運動不足を恨むかも

300mほど降りると岬先端展望台に着きます。ここをさらに降りると本当の先端部まで行くことができます

これが正真正銘の「襟裳岬先端部」

岬先端部には神社の跡が

筆者が子供の頃は、岩礁へ渡る桟橋がありました

先端部にある「豊国丸殉難者追悼碑」。1929年(昭和4年)4月22日、函館からカムチャッカ東海岸アナッターチャーへ向かっていた汽船豊国丸(2,343t、乗員乗客209名)が、襟裳岬沖にて座礁沈没。78名が死亡している。その事故の慰霊碑。事故発生時、船はSOSを発信。これを受信した札幌のラジオ局が放送を中断し、事故発生を緊急放送したという逸話が残っている。

風の館

風の館は前述の通り、地下埋設型の建築施設です。総工費20億4千万円をかけ1997年(平成9年)3月に竣工しています。襟裳に吹く風をイメージしたデザインですが、大部分が地下にあるため全容が掴めません。内部は曲線ばかりの造りなので、順路通りに進んでも、自分の現在位置を見失います。そして、順路の終点に来て「ココに出る訳ね」と悟る次第。その意味では、なかなか楽しく面白い建物です。設計はなぜかNHKエンタープライズ21。えっテレビ屋じゃないの?と思いますが、テーマパークなどのプロディースも手がけているようです。この曲線ばかりのへんてこな形もテレビ屋ならではなのかもしれません。施工は清水建設メインのJV。展示ルームは特別目を見張るものはありませんが、岬に生息するアザラシのウォッチングルームと、風速25mを体験できる「えりも風体験」コーナーがウリ。強くお薦めするものではありませんが、せっかくですので一通りご覧くださいね、という感じです。

カルマン回廊という長〜いエントランス通路。いかにも地下通路という雰囲気

受付を抜けると展示ゾーンが。風に関する展示がメイン

壁一面に埋め込まれたモニターに気象などのデータが

「風のシアター」ではえりも町のあれこれを紹介。なかなか見応えありあす

岬に張り出した展望ルームは凄い。あくまでも造りが凄い。利用者はいつもスカスカ(>_<)。ここからはバードウォッチングならぬアザラシウォッチングを楽しめる望遠鏡やグラスを設置

一巡りすると、最後に風速25mを体験できるという「えりも風体験」コーナーを楽しんで終了です

【住所】幌泉郡えりも町字東洋366-3
【電話】TEL:01466-3-1133/風の館
【料金】300円/風の館入館料(展望台は無料)
【開館時間】9:00〜18:00
【休館日】期間中無休
【滞在時間】60分
【駐車場】あり/無料

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