サロベツ原野の楽しみ方〜歩いて沼巡りをしよう

幌延ビジターセンターからの木道歩き、サロベツ湿原センターよりお薦め度が高し!

稚内の抜海から稚咲内海岸と、豊富町・幌延町の1市2町にまたがる広大な湿原地帯をサロベツ原野といいます。さらにその中にある「サロベツ湿原」は、面積6,700ha(東京ドーム約1,400個分) 日本国内の湿原で3番目の規模で、高層湿原としては日本最大を誇ります。この荒涼とした風景が北海道らしさ、特に道北らしさを醸し出しているのか、訪れる旅人は多い。しかし、そのほとんどが豊富町にある「サロベツ湿原センター」に立ち寄り、ちょっと木道を歩いて終了。というパターンではないでしょうか。この「サロベツ湿原センター」は2011年4月に移転開館した比較的新しい施設。移転前は6月中旬から7月初旬にかけて訪れれば、一面エゾカンゾウで黄色く染まった原野を観られたのですが、移転後の木道ではこの黄色い絨毯を観ることができなくなっています。筆者の素人考えになりますが、新たな施設建設が原因であろうと推測しています。湿原は非常に繊細な生態系で、人間の手が加わりほんの少しでも水の流れが変わるだけでも簡単に崩れてしまうのです。

サロベツ原野のような観光スポットへ、学術的観点から足を運ぶ人はそう多くないと思います。綺麗な原生花園を観られることを期待して訪れる人が多いでしょう。そのような観点からすると、「サロベツ湿原センター」の木道を歩いても、しかも花の時期が終わった後の8月中旬(いわゆるお盆休み)なら、なおさら歩く意味がありません。もちろん、都会では観ることのできない荒涼とした大地の姿に、別の感動があることは承知していますが・・・・。

ということで、前置きが長くなってしまいましたが、同じサロベツ原野の中でも「幌延ビジターセンター」は、旅情を引き立ててくれる施設と自然景観に出逢えるスポットとしてイチオシです。同地を何度も訪れていますが、環境客で混み合っているというシーンは観たことがありません。ゆっくり静かに自然と向き合え、かつそれなりに高い感動値を得られる素敵なスポットです。訪れる場合は、1時間ほど時間が取れることが必須条件です。急ぎ旅の場合は不向きですので、ご利用は計画的に!


高層湿原とは

高層湿原と聞くと、標高が高いところにある湿原と勘違いしている人がいますが、それは違います。読んで字のごとく「層が高い」湿地のことです。ほかに低層湿原、中間湿原があります。この高層湿原を簡単に説明すると、湿原に生育する植物が冬になると枯れ、その枯れ草が長い時間の間に堆積し、厚さが増していき、ついには地下水位を越えて成り立つ状態をいいます。この水位による決定的な違いは、植物が得られる養分の取得場所が異なる点です。つまり、水位が高い低層湿原の状態では、地下水に含まれる潤沢な養分により植生が進みますが、高層湿原になると、地下水からの養分補給が遮断されるため、その環境下でも育つことのできる植生へガラッと変わります。サロベツ原野では高層湿原がさらに進み「乾燥化」へと移行しており、荒涼とした大地が広がっています。

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幌延ビジターセンター

ビジタセンターの外観
小さな建物ですが、駐車場は広く用意されています

1階の様子
築20年以上経っていますが内部は綺麗に保たれています

2階は展望室となっていますが、さほど見渡せません

無料スコープが設置されています

【住所】天塩郡幌延町字下沼
【電話】TEL:01632-5-2077
【入館料】無料
【開館時間】9:00~17:00
【休館日】冬期(11月~4月)閉鎖、開館期間中無休
【滞在目安時間】10分
【駐車場】あり/無料

幌延ビジターセンター展望台

ビジターセンターから徒歩で1分の所に鉄骨製展望台が設置されています。三角形を基調とした櫓となっており、階段が鉄骨柱の外部に設けられているため、なかなかスリルのある昇降となっています。三角柱の内部にはアングル鉄鋼でトラスを組んでいますが、けっこう揺れます。高所恐怖症の人は途中で断念するかも!? 最上部からの展望は抜群で、左手奥にオトンルイの風力発電所、前方左手には利尻富士の鋭峰、正面にサロベツ湿原と長沼が広がる絶景です。知らない人が多いようですので、好天であればぜひ登ってみてください。

関連動画:9分41秒から

自然学習歩道パンケ線

ビジターセンターから長沼畔を通り、小沼を経てパンケ沼へ通じる木道が2,987mにわたり設置されています。この間、ただの一度も土を踏むことなく、延々と敷設された木道となっているのには驚きです。サロベツ湿原センターにも総延長1.5kmほどの木道が設置されており、国立公園&ラムサール条約認定湿原ということもあり、その対応は素晴らしいの一言に尽きます。この学習歩道ですが、片道3kmあまりということで、当然往復すると6kmという長距離になります。筆者は全線踏破しており、ここに紹介しますが、実際の所は、小沼かもしくは途中にある展望テラスで引き返しても良いでしょう。全線観たいという場合は、一旦戻った後、車両でパンケ沼まで移動し、気の済むところまで歩いて引き返すという方法があります。なぜこのような提案をするのかというと、小沼を過ぎパンケ沼までの間、ほとんど変わらぬ風景が延々と続くからです。悪く言えば時間の無駄になるということです。このへんの計画は個人の自由ですので、旅の予定に合わせて行動されればと思います。

センター右脇の歩道入口

しばらく幅の広い木道が続きます

カメラ小僧なら垂涎ものの光景が広がります

600mほどで木道の幅が狭くなります

刈り払いされ、よく管理された木道です

要所要所に距離板が貼ってあります

6月の末、カキツバタが咲いていました

1,800mほど歩くと小沼に到達します。周回路はなく、自然歩道からちょっとだけ見える程度。それでも、歩かなければ観ることのできない光景に出逢えるのは感無量です。なにか自分だけ得をしたような、そんな気分に浸れるのです。

小沼の背景にオトンルイの風力発電所が見えます。大自然の中に見える人工物。いいのやら悪いのやら・・・・

小沼から400mほど歩くと展望テラスがポツンと佇んでいます。高さもなく期待せずに登って見渡すと、想定通り、な〜んにもない荒涼とした乾燥化が進む原野が広がっているのみ。これはこれである意味絶景なのかも知れませんが・・・・

ビジタセンター方向を望む

パンケ沼方向を望む

1時間弱で終点に到着

最終プレートです

パンケ沼

特に風光明媚ではなく、訪れる人が非常に少ない寂しい沼です。駐車場から木道を進むと沼に面した木製デッキがあります。そこからは正面に利尻富士も見えまずまずなのですが、沼の水がかなり濁っており「汚〜い!」とガッカリするでしょう。ところが、これがこの沼の特長で、沼の底に溜まっている泥炭層から鉄分が溶け出し、それが酸化して沼の水が鉄錆色になっているのです。特に、晴天時に訪れると赤茶けた色に見えます。なので、そのことを理解してさえいれば、あえてその色を見に行く価値がある沼なのです。まぁ〜マニアックスポットであることに変わりありませんが・・・・。

沼畔には野鳥観察屋がある

沼畔の展望デッキ

正面に利尻富士と赤茶色の水面

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