高龍寺_函館に見応えある寺が存在する

函館最古の寺、彫刻が目を見張る寺社建築、歴史の舞台「傷心惨目の碑」、など見どころ満載

高龍寺の創建は、函館で最も古い1633年(寛永10年)。明治維新の235年も前なので、北海道としてはかなり古い。幾度かの移転と火災による焼失を繰り返し、現在見ることができる本堂は1900年(明治33年)の建築。見事な彫刻で威容を誇り、東北以北最大とされる山門は、1910年(明治43年)の建築となります。いずれも越後(新潟)の柏崎出身の大工や彫刻師の手によるもので、建材の加工や彫刻は越後で行われ、それを船で移送してこの地で組み上げられています。とにかく彫刻が素晴らしい。寺社建築のことはよく判らない人でも、この彫刻の素晴らしさには目を見張るでしょう。なお、歴史の浅い北海道では珍しく、木造建築で国の登録有形文化財の指定を受けています。指定されている建物は、本堂・山門・袖塀・位牌堂・開山堂・金毘羅堂・宝蔵・鐘楼・水盤舎・防火塀・土塀となっています。

彫刻で魅了された後は、「傷心惨目の碑」に足を運ばなければなりません。この碑は、箱館戦争で起きた痛ましい事件の供養碑。当時、高龍寺には旧幕府軍の野戦病院が設置されていましたが、1869年(明治2年)5月11日、突如、新政府軍の兵が乱入すると、無抵抗の会津藩負傷兵13名をメッタ斬りにし、寺は放火されるという惨殺事件が起きています。まだ、赤十字の精神が行き渡っていない時代の悲しい出来事でした。供養碑は1880年(明治13年)、旧会津藩有志により建立されています。この事件、箱館戦争を舞台にした映画やドラマでは必ず登場する場面で、それほどショックの大きな事件であることが伺えます。

函館観光ではなかなか注目されない寺ですが、拝旅ではイチオシのお寺です。ぜひ、一度は訪問して頂きたい。

スポットマップ

東北以北最大の山門と見事な彫刻。この山門だけでも見飽きません

境内の様子。山門からコの字に文化財級の建物が並びます

威風堂々とした水盤舎

見事な屋根の造作と彫刻

本堂正面の見事な彫刻

どれもこれも見事な彫刻のオンパレード。額縁の彫刻などは尋常ではない出来映え

これが「傷心惨目(しょうしんざんもく)の碑」。本堂に向かって右手前の駐車場脇にあります。ぜひ現地で合掌して頂きたい

【住所】函館市船見町21-11
【電話】TEL:0138-23-0631
【開門時間】9:00〜16:00
【拝観料】無料
【滞在目安時間】30分
【駐車場】あり/無料/山門右手から境内に入る

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