拝啓、旅人様。

スーパーマニアック・人造石油生産の記念碑_人石記念塔

北海道で人工石油が作られていたことを知る人は少ない。その事業を後世に伝えるために建てられた記念塔

滝川にある市民公園の片隅に、ひっそりと六角錐白亜の塔が建っています。台座に刻まれる碑銘は「人石記念塔」。おそらく地元の人ですら何物なのか知る人は少ないのではないだろうか。この「人石」とは、北海道人造石油株式会社の略称。この会社は何をしていたのか? 北海道といえば炭鉱。産出される石炭を液化し石油に変えるという、夢のような事業を行っていたのが「人石」なのです。

1937年(昭和12年)人造石油事業法が発布され、石油資源のない日本は、国策として石炭から石油を造る事業を開始。翌年の1938年(昭和13年)北海道人造石油株式会社が設立。滝川に8,000億円を投じ巨大工場を建設。終戦後、GHQにより操業停止を命ぜられるまで人造石油を生産していました。しかし、事業転換を経るも1952年(昭和27年)6月に倒産。この日本において、人造石油を生産していた事実を後世に語り伝えるため、北海道人造石油株式会社の元社員の手により、1957年(昭和32年)7月に「人石記念塔」が建立されたものです。同年12月8日に除幕式が行われましたが、この日はちょうど20年前に人造石油が産油された日でした。あえてこの日を選んだのは、元社員であればこその選択だったといえるでしょう。なお、記念塔の台座は朽ちかけている煉瓦が使われていますが、これは人造石油を造る施設のひとつであるコークス炉の煉瓦を移築したものです。

 

白亜の六角錐が空に伸びる

 

記念塔は、工場敷地跡に造られた公園の片隅にあります

台座に埋め込まれた碑銘

台座の裏には碑文が埋め込まれる

人造石油事業が日本の化学遺産に認定されている

ここで造られた人造石油ですが、主に自動車用途であり、ゼロ戦など航空機用の燃料は造れなかったようです。ですが、2013年(平成25年)3月、北海道人造石油株式会社滝川工場の資料等が、公益社団法人日本化学会より化学遺産に認定されています。元々、ドイツで発案された製造法を日本独自に改良し、質の高い生産技術を開発しましたが、時すでに遅く終戦を迎えています。その詳細をリンクしますので、興味のある諸氏はご一読下さい。(下記の画像をクリック)

【住所】滝川市泉町2丁目9
【入場料】無料
【開場時間】特に規制なし
【滞在目安時間】10分
【駐車場】なし

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