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開基百年記念塔・北方記念館

この手の施設としては抜群に面白い！展望台も抜群によい！
稚内公園の最も高い位置(海抜170m）に建つ展望タワー。北方記念館が併設され、よくある郷土資料館のそれですが、本土最北という地域性からも地味ながら見応え度は十分。特に目を見張るのは、サハリンが日本領だった時代の写真展示。当時の樺太がここまで発展していたのかと驚きます。また、氷雪の門の脇にある「九人の乙女の碑」に関するコーナーでは、あらためて戦争の悲惨さを痛感。
さらに、サハリンで大火傷をした当時3歳のコンスタンチン君を、北海道の医師団が搬送治療し、日ソで大反響になった救出劇の資料も見応え十分。これは涙ものの感動劇で、NHKのプロジェクトXでも取り上げられています。
海抜240ｍにある展望塔からは、天気が良ければ宗谷海峡や稚内市街の展望は抜群。最北の地をこの高さから眺めるのはさすがに気分爽快です。ここまで来たら足を運ぶ価値はあるでしょう。

百年記念塔の内部は、1階と2階に北方記念館があり、最上部に展望室という3層構造になっています。入館は有料ですが、展示室だけとか展望台だけという料金設定はありません。なので、せっかく入館するならば、ひと通り見た方がいいでしょう。1階展示室は、間宮林蔵や伊能忠敬に関する蝦夷地探検がメインとなっています。伊能大図のレプリカや、間宮が見た蝦夷のスケッチなどが目を引きます。

ＮＨＫプロジェクトＸにも紹介された「国境を越えた救出劇」
1990年8月、州都ユジノサハリンスクに住むコンスタンチン・スコロプイシュヌイくん（当時3歳）が、洗濯用に湧かした熱湯の入ったバケツに転落、全身の皮膚90％に及ぶ大やけどを負った。地元の医師は手を施すことができずあと70時間の命と宣告。母親は、たまたまサハリンに居合わせた日本人に救助を依頼し、すぐさま北海道庁国際交流課に連絡が取られた。道庁から外務省に連絡が飛び、札幌医科大の医師が海上保安庁の飛行機でサハリンに飛ぶことに決定する。問題は山積、まだ冷戦状態だったソ連へパスポートもビザも無しで、しかも日本の飛行機が飛んで行くのである。外務省では仮上陸という特殊な許可を取り付け、千歳空港に医師4名、パイロット2名、通訳など13名のプロジェクトチームが集合する。

午前3時40分、救援機は千歳を飛び立った。道庁に電話が入ってからわずか17時間後のことである！午前6時42分、濃霧の中、ソ連のスクランブルもなく無事にサハリンに着陸。戦後日本の飛行機が着陸するのはこれが初めてであった。当初現地で治療の予定だったのだが、様態は想像を超えてひどく、日本国内での手術を即決。サハリン州政府は父親のみ同行を許可し、坊やと父親を乗せた海上保安庁機は、2時間後の8時54分に札幌丘珠空港に帰着。そこからヘリコプターに乗り換え札幌医大に搬送された。2日後、皮膚の提供者が現れ、3時間50分の移植手術が行われ無事に成功。コンスタンチンくんは死の淵から生還した。

この救出劇に対し、シェワルナゼ外相から感謝状が送られ、また日本各地から1億800万円の寄付金が集まるなど、両国の友好関係は急速に接近した。現在、フェリーのサハリン航路が開かれたのもこの事件の影響が大きいといえる。当時の外務省は良くやった！と褒めてあげたい。

展望台内部の様子

利尻島・礼文島、利礼の丘を望む

展望室内の様子。記念塔は海抜170ｍの台地に、高さ80ｍのタワーを建設したもので、この展望室は地上70ｍ付近にあり、海抜からだと240ｍの高さになります。海抜計算では日本で最も高い部類の観光展望室といえます。(スカイツリーは除く）

●料金:入館料400円　●滞在時間：60分　●住所：稚内市ヤムワッカナイ　●TEL:0162-24-4019　●駐車場：あり/無料　●営業時間：9:00〜17:00　●定休日：6月〜9月は無休　●GPS:北緯45°25′01″東経141°39′48″

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