わずか39年間で死亡した囚人1022柱が眠る_篠津山墓地

月形町にある樺戸監獄時代の囚人墓地があります。
北海道開拓史で素通りしてはならない史跡です。

月形町には、日本で2番目に広い(東京ドーム26個分)月形刑務所があります。明治時代に樺戸集治監があったことから、東京にあった中野刑務所の廃庁に伴い、地元の誘致活動の成果もあり新設されています。刑務所誘致というある意味珍しい活動は、1881年(明治14年)から1919年(大正8年)の39年間、月形に監獄があったためです。この樺戸集治監と呼ばれる監獄は、2018年に北海道遺産にも選定されています。現在は建物の一部を活用し監獄博物館になっています。アニメ「ゴールデンカムイ」にも登場しているので、多くのファンが足を運んでいると思います。このアニメにも登場していますが、新選組の永倉新八が樺戸集治監の看守に剣術を指南していたという逸話は有名です。

樺戸集治監は39年間という比較的短い期間の開設でしたが、1046人の囚人が死亡しています。その内訳は、心臓疾患804人、衰弱60人、看守による斬殺41人、作業中事故33人です。これが多いのか少ないのかはピンときませんが、現代の刑務所で年平均27名が亡くなっているとは思えませんよね。この死亡者の内、24体は親族などに引き取られましたが、残る1022体は近くにある墓地に埋葬されたのです。ただし、現在見られるような墓碑があるものではなく、3〜4箇所にまとめて埋葬されるという乱暴なものでした。

1972年、旧樺戸監獄本庁舎が北海道行刑資料館として使用されるのを機に、囚人墓地の調査が始められ、1981年から1984年の3年間で、現在見ることのできる墓地に整備されたました。見ての通り、タテヨコに整然と墓石が並び、囚人墓地とは思えない立派な構えです。取材時、雑草などの手入れもよく非常に綺麗に保たれていました。後で調べて判ったのですが、この囚人墓地の管理と整備は、前述の月形刑務所の受刑者が担当していました。

写真でご覧の通り暗く重い雰囲気は皆無。普通の墓地の方がよっぽど怖い。ここは北海道開拓史で忘れてはならない史跡のひとつといえます。北海道遺産になった月形樺戸博物館や、旅人向け評価が高い偕楽公園キャンプ場を利用の際は、ぜひ立ち寄っていただきたい史跡です。

当初は3〜4箇所に合葬されていましたが、一人ひとりの記録は残されており、それを元に整備されています。
とはいえ、ひと柱ごとに誰であるかを調べての再埋葬なので、3年もかかったのがよく判ります。

整備前に合葬されていた場所には木柱が建つ

現在はこの下に遺骨はありません

【住所】樺戸郡月形町知来乙1319
【電話】TEL:0126-53-2322/月形町役場産業課商工観光係
【入場料】無料
【時間制限】特に規制なし
【滞在目安時間】10分
【駐車場】あり/無料

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