最大の見どころは「ゼロ戦」!_倶知安風土館

太平洋戦争中、風雪実験に使用された
数奇な運命を持つゼロ戦の翼を展示

太平洋戦争中、ニセコアンヌプリ山頂で、ゼロ戦の機体を使い、冬期飛行における機体への影響を調べる着氷実験を行っていました。これは、雪や氷に関する世界的権威であった北海道大学の中谷宇吉郎教授のチームによるものでした。中谷宇吉郎教授は、1936年(昭和11年)世界初の人工雪結晶を作り出した人物。この着氷実験は3年行われており、現在アンヌプリ山頂には「ニセコ観測所跡」の碑が立っているほか、ゼロ戦を固定した基礎とボルトも残っています。

日本が敗戦するとGHQ対応のため、ゼロ戦の機体は山頂から谷筋へ投棄されてしまいます。その後、長い間この機体のことは語られることがなかったのですが、1990年(平成2年)に北海道新聞社が機体の位置を特定するに至り、倶知安町で3回の現地調査を敢行。苦難の末、2004年(平成16年)6月に右翼の回収に成功します。この翼は倶知安風土館2階に保存展示されています。空を飛んでいたゼロ戦とは一風変わった機体ということもあり、史料価値は相当高いのではないかと思います。また、北海道とゼロ戦という取り合わせも意外性があるのではないでしょうか。マニアならずとも一度足を運ぶ価値がある施設です。

なお、この着氷実験のゼロ戦プロペラが、なぜか岩手県花巻空港に展示されています。このプロペラは予備品であったといわれており、実際にはニセコアンヌプリ山頂には設置されなかったようですが、長い間、中谷宇吉郎教授の倉庫に保管されていたようです。

風土館はゼロ戦専用の展示施設ではなく、いわゆる郷土資料館
民俗・歴史資料や自然に関する展示等がメイン

ゼロ戦の翼は、吹き抜け展示室2階にこのような形で置かれています

60年近く風雪にさらされたためボロボロになっています
ほかの部分は損傷が激しかったり、発見に至らずなどで回収できませんでした

実験当時の山頂写真

風土館外観

ニセコアンヌプリ山頂にある「観測所跡」の碑
その台座はゼロ戦を固定していた基礎と思われる

【住所】虻田郡倶知安町北6条東7丁目
【電話】TEL:0136-22-6631
【入館料】200円
【開館時間】9:00~17:00
【休館日】毎週火曜日(祝祭日の時は翌日)
【滞在目安時間】30分
【駐車場】あり/無料

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