アポイ岳ジオパークを巡る

もはやマニアックを通り過ぎて学術的すぎる!

下記にも記載のとおり、ジオパークは特徴的な大地の変動が見られ、それに即したテーマが伴って認定されます。もっとも判り易いのは火山活動地域でしょうか。次に多いのが半島、岬、島などの海岸線地域。ここアポイは山と海岸の両方を兼ね備えたジオパークです。そのメインテーマは「地球深部からの贈りものがつなぐ大地と自然と人々の物語」というキャッチ。正直いってよく判りません(>_<)。30年に一度噴火する有珠山、巨大なカルデラ湖洞爺湖を有する「洞爺湖有珠山ジオパーク」は素人にも理解できるのですが、アポイ岳ジオパークは、なぜここがジオパークに認定されたのか? そこで、現地を尋ねてみましたが、予想どおり素人には難解な地質現象の集合で、マニアックスポットにも収まらない超学術スポットでした。

ジオパーク認定前の様似町では、観光スポットといえばアポイ岳ぐらいで、観光産業は厳しかったのですが、2015年9月の世界ジオパーク認定で俄然頑張ったのでしょう。立派なビジターセンターができ、5つのエリア35スポットに説明板を設置。認定ガイドによる体験プログラムの実施など、非常に活発な活動をしています。が、しかし、どれだけ観光客が増加したのでしょうか?と、いぶかしくなります。それだけ学術的過ぎて観光客レベルの話ではないのです。ですから、この記事を読んで、じゃぁ〜行ってみよう!と思う人は、たぶんいないんじゃないでしょうか・・・・。

様似・浦河スポットマップ


ジオパークとは
ジオパークは英語でGeoparkと書きます。このGeoとは地球・大地を意味し、公園のParkを合わせた造語。もの凄く平たくいえば、地質の世界遺産みたいなもの。保全・教育・ツーリズムを主なる活動目的として、2004年(平成16年)ユネスコの支援を受け、世界ジオパークネットワークGGN)が設立。この下部組織として、日本ジオパークネットワーク(JGN)が2009年(平成21年)5月に発足。2015年(平成27年)にユネスコの正式事業となり、まだ産声を上げたばかりの活動といえます。加盟国もまだ35カ国にすぎない。
ジオパークを名乗るためには、日本ジオパークネットワーク(JGN)の認定を受け、さらにJGNにより申請されることにより、世界ジオパークとして認められます。現在、日本における世界ジオパークは9件、日本ジオパークは44件が認定(2018年9月現在)されています。なお、一度認定されても4年に1度の再認定審査があり、通過しない場合は取り消されることになります。
北海道における世界ジオパークは、洞爺湖有珠山ジオパーク、アポイ岳ジオパークの2件。日本ジオパークは、この2件の重複登録と、とかち鹿追ジオパーク、白滝ジオパーク、三笠ジオパークの5件となります。このほか、十勝岳が認定を目指しているそうです。

 

アポイ岳ジオパークは、5つのエリアから構成されています。このジオパークを構成しているスポットを「ジオサイト」といいます。この後はジオサイトの紹介を行います。なお、すべてのジオサイトの紹介はしません。あまりにも学術的すぎるとか、足を運んでも意味がないスポットは省きます。

様似海岸エリア

様似海岸エリアは、様似市街地の前後、国道336号に沿ってジオサイトが点在しています。(画像クリックでPDF拡大します)

塩釜トンネルとロウソク岩
ロウソクの炎に似ていることから名付けられたもの。感動するほどではないでしょう

親子岩
親子岩展望台から望む3つの岩塊は、左から父さん岩、母さん岩、子供岩。

エンルム岬
親子岩のような島だったものが砂の堆積により陸と繋がった岬。詳しくは「エンルム岬」のページへ

蝦夷三官寺のひとつ等澍院は幕府直轄の寺院。伊達市にある善光寺、厚岸町にある国泰寺がそれで、いずれも葵の紋が今に残る。詳しくは「等澍院」のページへ

エンルム岬から望む観音山。詳しくは「観音山展望台」のページへ

様似小学校裏の旧石切場
ここはかつての採石場の跡地。どこにでもあるようなただの崖にしか見えませんが、組成は堆積岩の露頭で、かつてここが海底だったことを現しています。地層は中生代白亜紀(1億年前)のものだそうです。ここを訪れてすっごーいと思うか、ふ〜んと思うかは貴方次第です・・・・。

日高耶馬溪エリア

アポイ岳の山塊が太平洋へと落ち込み、断崖絶壁を形成しているのが「日高耶馬溪」。大分県にある耶馬溪のパクリスポット。こちらのジオサイトは、もう項目を見るだけで腹一杯になるのではないでしょうか!?(画像クリックでPDF拡大します)

冬島の穴岩
この穴は、波の侵食によって開けられた海食洞です。観光として見るならここまで。現地の説明板にはこう記載されています「岩には、堆積岩の特徴である細かな層の積み重ねが見られますが、地下深部で高温にさらされたため黒雲母ができ、ホルンフェルスと呼ばれる変成岩になっています。」意味の判る方はどうぞお越しください!

東冬島トンネルの断層
ここはトンネルの東口から少し離れたところにあるスポットで、路側帯などなく、車両を停めることができません。50mほどの所に路側帯があるので、そこにクルマを停めて見学しますが、通行車両には十分気を使ってください。さて、この写真を見てピンと来る人はいないはず。学者でもなければこのスポットの凄さは一目で理解できません。しかし、凄いんです!ここは!!
地球にはプレートというものが存在していることを、学校で習ったので覚えているかと思います。北海道は北米プレートとユーラシアプレートの境に載っている陸地です。その境目がまさにココなのです!しかも目視で判るという凄いところなのです。写真の左上部の黒っぽい部分が北米プレートの蛇紋岩、その下がユーラシアプレートの変はんれい岩なのです!詳しくは現地に掲げられている案内板をご覧あれ。

ピンク矢印が、クルマを停められる路側帯。黄色矢印が現地スポット

国道ッ端に案内板あるものの、徒歩で来ないと読めません!

大正トンネルの花こう岩類
ここはやはり学術的に重要な岩石スポットのようですが、説明板を見てもチンプンカンプンです。ですが、観光視点で面白いものが見られます。上の写真は大正時代のトンネルなのですが、その両脇に明治のトンネルと昭和のトンネルが3本並んでいるのです。これはかなり珍しいスポット。詳しくは「大正トンネル」のページへ

ルランベツ覆道の褶曲(しゅうきょく)というジオサイトです。もう褶曲というだけでダメですね!いわゆる奇岩系のスポットですが、確かにある意味凄い岩なので一応紹介しておきます。詳しくは「ルランベツ覆道の褶曲」のページにて

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